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あるびん・いむのピリ日記

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くろ麦

東京は港区、青山一丁目にあるツインタワー東館、地下一階の蕎麦屋である。佐野市と宇都宮市に支店があるようだが、行ったことはない。
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自慢ではないが、相当な蕎麦っ喰いである。産湯の代わりに蕎麦湯を使った・・・とまでは行かないが、箱根暁庵はもとより、あの伝説の高橋名人を慕って、北巨摩郡の「翁」まで蕎麦を食べに行ったことがある、と言えばお分かりになるかもしれない。しかし、そんな上品な蕎麦ばかりではなく、神田の「まつや」にもよく出かける。江戸っ子なので、池之端や浜町の藪、室町砂場などもご贔屓である。ちょっと時間があって、美味しそうな蕎麦屋があればすっと入ってもり蕎麦を一枚食べるのがクセになっている。そんな私が、最近イチオシで絶賛するお店がこちら「くろ麦」。
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店主は鎌倉一茶庵で修行した人で、そのため普通の蕎麦だけでなく、更級そばや柚子切りなどの、いわゆる「変わりそば」も楽しめるが、なんといってもメインはやはり、腰が強く薫り高い「せいろう」蕎麦だろう。一見、なんの変哲もない蕎麦だが、口に含むとさあーっと蕎麦の香りが鼻の中を吹き抜ける。外皮を少し混ぜた、多少色黒の田舎風なのに細切りで、味は繊細極まりない。かみ締めると、そば粉の甘味がじわっと出てきて、それがまたやや辛めのつゆによく合う。実に、その汁と麺とのコラボレーションもよく取れているのである。
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メニューは、せいろう¥770、この季節だと竹の子蕎麦¥1,500など、決して安くはない。酒やビールは一種類で、銘柄は選べない。つまみも自家製さつま揚げが特徴である以外は、板わさ、焼味噌、天ぷら盛り合わせ、月見芋など、とりたてて変わったものはないのだが、どれも吟味されていて美味しい。一番感心したのは「そばがき」で、ここのは固める前の「掻きっぱなし」という柔らかいものが出てくる。それを土佐醤油で頂くのだが、すぐ食べないとどんどん固くなる。その、淡雪のような掻き立てを食べるのが醍醐味である。そのほか、ぶっかけ、天ぷらそば、鴨南蛮など、定番の温かいお蕎麦もとても美味しい。お近くにいらした際は、ぜひお寄りいただきたい名店である。
by cookie_imu | 2005-05-10 14:27 | 各国酒・ごはん