あるびん・いむのピリ日記

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BAR TRAVIS

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渋谷の南口から徒歩十分のところにあるショット・バーである。以前ご紹介した焼酎バー「五八」のママさんが、「私が最初に修行したお店なんで、ぜひ行ってみて下さい」というので職場の若いのと二人で行ってみた。少し分かりにくいところにあるので、行き方はHPご参照頂きたい。




入りづらい、重厚な木の扉を隔てたお店である。その上、昨晩は全身タトゥーをした向かいのお店のマスターが階段の下にいてお店の看板を直していたので、余計びびってしまった。(しかし・・・このオソロシゲな向かいの店のマスターは、実に親切で礼儀正しい人だと後で分かった。まことに人は見た目で判断してはいけない^^;)

ご覧のような、赤と黒の扉を重々しく押してはいると、内装も赤と黒を基調としたインテリアの店内が広がっていた。まだ時間が早かったので誰もお客がおらず、とても緊張した。マスターは、しかしヒゲの優しそうな人である。だが・・・メニューというものが店内にない。あるのは、いくらかのおつまみの名を書き出した張り紙が一枚だけ。当然プライスも分からない。ただ、私は「五八」のママさんから「マティーニで千円ちょっとかな」と聞いていたので、それほど気にはならなかったが、初めての人が、ひとりで入るのには勇気がいるだろう。場所も雑居ビルのようなところの二階、階段下に出ている看板も小さいので、ほとんど常連か、私のような紹介がある客で占められているといっていいだろう。HPにも、メニューその他の情報は一切載っていない。
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まず、お勧めのドライ・マティーニを頼んでみる。「あまりドライにしないで」と頼む。私のいつもの注文だ。初めてのバーに行くと、必ずこうしてドライ・マティーニを頼む。この、「あまり」の部分をどのように解釈するか・・・で、やや大袈裟ではあるが、そのバーのマスターの技量や嗜好、さらには人柄まで推し量ることができるからである。

まず、ステアするのにジガーを使わないのにちょっとビックリした。理由を聞くと「ステアの時は氷に注ぎますから、ジガーを使うと氷が溶け出してしまう」とのこと。ジンはゴードン、ベルモットはチンザノ。定量、ジンを注いでから少し考えて、ベルモットを注ぎ足していた。これでミディアムにした塩梅なのだろう。さらに、ステア前にオレンジビタースを2ダッシュ。これにはちょっと驚いた。ビタースを処方するのは、普通のマティーニのレシピにはないからである。さらに驚かされたのは、そのステアの方法。ミキシンググラスの前に顔をくっつけるようにして、相当のスピードでステアをしていた。後で弟子の五八ママにその話をすると、「マスターは、あの時香りをかぐんです。三度、マティーニの香りが鼻にふわっと抜けるまで・・・」と言っていたので、なるほど・・・と納得。

そしてレモンピールの霧を吹きかけ、種付きオリーブを入れたグラスを「どうぞ」と出されて飲んだマティーニは、とても美味しかった。オリジナルな処方ではあるが、それがとてもこの場合マッチしていて、角の取れた、まさしく優しい味のカクテルを生み出していた。霊妙な手腕・・・というのではないし、エッジの立った味というのでもないが、お酒本来の美味しさを引き出した、ほっとする味わいだった。とても空腹だったのでサーディンのチリ味缶焼きを頼む。これも焼き上げの難しい料理だが、とても具合よく焼いて出してくれて、これを同僚とありがたく頂きながら、さらに私はロングドリンクとしてボストン・クーラー、最後はマルガリータを頼んだ。辛口のカクテルがすきなのだが、どれも飲みやすい、ジェントルな味わいだった。マスターは特撮大好き少年だったらしく、科学特捜隊(ウルトラ警備隊の前身)のマークのついたシャツを着ていたので、ウルトラマン関連の話で一気に盛り上がり、打ち解けた。こういうところがボーイズの嬉しいところ。

お支払いの段になってちよっとドキドキしたが、トータルでフィー込みで4,500YENはそれほど高くない(これこそリーズナブル)だと思う。まさしく、お酒とおつまみ、技術と会話、空間と時間に支払う代価としては十分満足だった。「ビール一本でも結構ですから、懐の寂しい時でも来て下さいね」というマスターの一声も嬉しかった。ちょっと遠いけれど・・・また来よう。
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by cookie_imu | 2005-05-26 12:46 | 各国酒・ごはん