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あるびん・いむのピリ日記

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「ソウルの食べ方歩き方」

副題に「路地裏安食堂探検ガイド」とあるように、絶対、観光客が行かない(ていうか、行けない)ソウルの裏の裏道にある、恐ろしく安い(でも、美味しい)お店を徹底ガイドした本である。
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のっけの表紙から、もうバリバリのペチュキムチで、多分中部市場だろうが、韓国の下町のマヌルの匂いが、もうムンムン香ってきてしまいそうである。本の中身全体もそんなつくりで、高円寺にあるバーの韓国人マスターと、この本の著者が、韓国の路地裏という路地裏を食べまくった本だ。

私も去年くらいから、だいぶ路地裏を歩けるようになって、思いもかけずクッパやソロンタンの美味しいお店を見つけることが出来るようになって、また韓国旅行の醍醐味が増えたばかりなので、このようなガイドブックの登場は嬉しい限りである。なぜなら、普通の観光客、特に昨今のドラマのロケ地ツアーなどに参加される方は、絶対足を踏み入れないような場所だからだ。とてもキレイとはいいがたいし、なにしろ、言葉が通じない。ブームなんて関係ない。そこには韓国風の、濃ーいコミュニケーション空間が流れているのだから・・・

しかし、多少会話のやり取りが出来るようになってくると、そういう裏道に入ってアジュンマと話をしながらメシをかっ込むのが、無上の楽しみになってくるのは不思議なものである。時には話に夢中になり、コンロに載せて焼いてるイシモチが真っ黒焦げに・・・なんていうこともあるんだが、それはまたそれでご愛嬌(^^)。なにしろみんな3,000~5,000ウォンと、激安である。

 この本を読んで、1,500ウォンの「ウゴジ湯」なるもののあることも初めて知った。いわゆる「青菜汁」は、低賃金で働く労働者の常食のようで、その辺のエピソードも、実に丁寧に活写されていた。また、ヘジャンクッの名所であるタプコル公園裏(今度行ってみよう)には用もないホームレスたちがたむろし、何事ならんと思っていると、教会やお寺のボランティアたちが炊き出しをしていた・・・というような様子も、よく分かるように冷静に観察している。ここには、凡百のレストランガイドなんかにない、庶民の目と息づきが確かに存在する。一人でソウルの裏町を歩ける人には、必読の書であると思った。(中山茂大著、山と渓谷社刊、¥1,200 詳細はコチラ)
by cookie_imu | 2005-06-01 22:57 | 最近読んだ本・雑誌・漫画