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あるびん・いむのピリ日記

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『血の涙(혈의 누)』附・続報 監督結婚!

ソウルで『拍手する時に発て』を見て、チャ・スンウォンのあまりに息詰まる名演にノックアウトされ、乏しいお小遣いの中から唯一、スペシャルバージョンのDVDを買ってしまったのがこの作品。
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主な出演は、スンウォンの他に『シュリ』『リメンバー・ミー』では優男、『MUSA』や『永遠の片思い』では、情けなくもちょっとコミカルな役を演じていたパク・ヨンウ。『オルガミ』のダメ亭主、と言ったほうが最近は通りが早いかもしれない。そして、もう一人重要な役割を演じるのは、「オールイン」でブレイクしかけたのに、この映画を最後に兵役中のチ・ソン(でも、ファンミやるっていう話だけれど・・・^^;)。監督は、これが二作目、『バンジージャンプする』のキム・デスン。



これほど違うとは・・・。うーっ、まだ胸がドキドキする・・・っていうか、相当にグロ。必然はあるんだけれど、パク・チャヌク並の場面の連続に耐えられないと、到底、見続けることは不可能・・・!なんでこんなにスタイルを激変させちゃうんだーっ!?でも、根底に流れている、因果律に人の運命は左右される、っていう東洋哲学的スタンスには、どちらの映画にも通底するものを感じた。
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映画としてはいわゆる推理サスペンスに分類されるもので、サイコホラーではない。スリラー的な「謎解き」が中心となる。そのストーリーのあらましは、こんな具合だ。
 19世紀朝鮮時代の末葉,製紙業を基盤に成長した人里離れた島の村トンファ(東花)島。ある日,朝廷に献上しなければならない製紙が,輸送船もろとも燃えてしまうという事件が起こる。事件を解決するため,捜査官ウォンギュ(チャ・スンウォン)一行がトンファ(東花)島へ派遣されるが,島に到着した日,火災事件の解決を急ぐウォンギュ一行の前で,残酷な殺人事件が起きる。
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 犯人が分からない殺人事件で動揺する村の人々は,7年前,謀逆を率いる天主教徒の仲間だと烙印を押され,家族全員が斬刑にあったカン・ゲクチュ(チョン・ホジン、『マルチュク青春通り』でKSWのお父さん役だった人)の怨みの霊が起こした呪いと思い,ますます狂気に包まれて行く。そして,不吉な島に孤立していくウォンギュ一行は,殺人犯の行方を探せないまま,狂気じみた村の人々の雰囲気に動揺してしまう。その上,事件を解決するために冷徹に推理するウォンギュの前に,残酷な連鎖殺人事件が続く。
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 製紙所主人キム・チソン大監の息子イングォン(パク・ヨンウ)は,荒々しい村の雰囲気を強圧的な態度で押さえて,ウォンギュと絶えず対立する。さらに,斬刑されたカン・ゲクチュに恩恵を感じているトゥホ(チ・ソン)の登場で,ウォンギュはますます混乱に陥るようになる・・・というものである。
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過去と現在がカットバックで錯綜し、さらに妖しげな美人ムーダンまで登場する。そして、前半ではなぜ、トゥホ(チ・ソン)の存在が必要なのか、全くわからない。目を皿のようにして英語字幕を読んでもよく分からない。それが・・・後半になって、全てのファクターが一本の糸にあざなわれ、収斂されていく。その見事さが、この映画の醍醐味であろう。謎解きモノとしてはやや物足りない感じも否めないが、物語の真意は謎解きにあるのではないことが、その陰惨な場面を見続けていくうちに分かってくる。そして・・・朝鮮時代末期の、民衆の哀れな実生活に思いを致す時、実にやりきれない暗鬱な気分となる。しかし・・・その重くのしかかる気分は、その時代の暗黒面を的確に描ききった映画に対する敬意へと変わっていく・・・。難しいが、とても優れた映画であると思った。

その真ん中にいて、映画を支えているのはいうまでもなく主演のチャ・スンウォンである。時代劇の捜査官・・・という難しい役どころを、今回も実に情念の色濃く、力演している。しかも今回は武術アクションや剣技まで伴うのである!つくづく、凄く成長している役者さんだなぁ・・・という思いを新たにした。そして、今回、大いに株を上げたと思われるのは対立する製紙工場主を演じたパク・ヨンウ!いゃあ、良かったー!優男も情けない男の面影も、微塵もない。蒼白の面持ちの中に、クールで冷酷な役柄を、これまた文句のつけようのないほど好演していた。間違いなく、現時点で彼の代表作となることだろう。残念ながら、チ・ソンは出番が少なく、印象的ではあるがまだまだこの二人に比べれば、演技云々を言うほどではなかった。

それにしても・・・重厚かつ、グロテスクである。グロテスクさに必然性があり、単に監督の趣味的方法論として要請されているのでないので、手法として導入されることには納得はできるのだが・・・二度、三度と見るには気が重い作品である。歴史的背景なども分かり辛く、いい映画だとは思うが、日本の配給は買い付けに二の足を踏むことは間違いないと思う・・・。とか何とかいってもチ・ソン人気で公開しちゃうかなあ・・・

付記・続報
キム・デスン監督、9/4にご結婚なさったようですね!美しい花嫁さんですが、女優ではないようで・・・(^^)
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仲人にあたる人がイム・グォンテク。ビョンホン、チャ・スンウォン、アン・ソンギ先生も祝福に駆けつけたようですね。アン・ソンギ先生は確か彼の映画には出ていないと思うんですが・・・人望があるんだなぁ。(朝鮮日報の記事はこちら
by cookie_imu | 2005-09-05 09:10 | 韓国映画・新しめ