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あるびん・いむのピリ日記

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『ドンテル・パパ』

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昨年秋に公開された、とってもお下品なセクシー・コメディー。監督はこれが第一作となるイ・サンフン、主演は『反則王』で、ソン・ガンホの銀行の同僚を快演したチョン・ウンイン。お相手の女優は、『チャンピオン』でユ・オソンの恋人を熱演したチェ・ミンソです。

ストーリーは、女子高のトイレで、ある女子高生が出産する、というショッキングな(しかし笑える)シーンから始まります。チョン・ウンイン演じる軽薄男チョルスは、かねてからの思いを遂げて、不良少女エラン(チェ・ミンソ)と結ばれるのですが、その後一年近く音信普通となります。実は、エランは一夜の過ちで妊娠してしまったのでした。ある日、チョルスの高校のクラスにエランの生んだ男の赤ん坊が籠入りで届けられます。チョルスはもちろん退学。あまつさえエランがアメリカ留学に行ってしまったため、彼は一人で三流パブのショーの司会などをしながら、その男の子にエランと一夜を過した思い出の旅館の名前、チョウォンと名づけ、男手ひとつで育てます。
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こう書くと、どうにもこうにも品のない、三流エロコメのように感じられますが(事実、エロコメなんですが^^;)エロはエロで構わん!文句あっか!!と思いっきり開き直って作った(らしい)せいか、意外と出来のいいドラマに仕上がっています。ことに、男の子チョウォンを演じているのが、こまっしゃくれた都会の子を演じさせたら右に出るものはいない『おばあちゃんの家』の名子役、ユ・スンホ。ショー・パブのおかまホステス嬢(!)などに可愛がられながら、チョウォンは屈託のない、朗らかな子に育ちます。この晴れ晴れとした子役の演技がいいんだなぁ。
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また、不運にも生まれてしまった子なんですが、チョルスはこの子をメタメタに可愛がっています。不憫な子ほどかわいいというのでしょうか…この、父と息子の情愛の機微を、チョン・ウンインが素敵に演じています(^^)また、子供も父によくなつき、三流ショーパブのMCなんていう、うだつのあがらない仕事をしている父をバカにすることもなく、利発にパブのマスコットボーイとなり、日々楽しい暮らしを送っています。この辺の人情ドラマがよく描けているため、単なるエロコメの枠を脱したドラマになっているのです。

しかし、チョルスにある日、大変な転機がやってきます。七年間、アメリカにいたエランが、下着会社の役員として、成功を収めて帰国するんですね。偶然部下になった、チョルスの親友に誘われて、エランはある日ショーパブに遊びに行く。そこで司会をしているチョルスと、彼をパパと呼んで無邪気に戯れているチョウォンを見て、エランは全てを衝撃のうちに悟ります。

そ知らぬふりをして、友達のおばさんを装い、だまってチョルスに近づくエラン。チョウォンの可愛らしさを知れば知るほど、ママと名乗って彼を受け入れたくなるエラン。チョウォンを奪われるのでは…と恐れるチョルス。偶然、彼女をほんとうのママと知って、でもパパも大好きなため小さい胸を葛藤に悩ませるチョウォン…。この間の、三者のやり取りは、本当に気取りがない映画な分、逆に繊細な人情の機微を余すところなく伝え、思わずぐっと来てしまいます。
やがて、チョルスはチョウォンを連れて、地方のショーパブに逃げる決意をするのですが…
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実はこの映画には、もうひとつウリがあって、それがこの写真のトランスジェンダー・ショウです。映画の中では身もふたもなく、モロに「オカマショー(そのまんま日本語で)」と呼んでいますが。こういった類のショーが、日本直輸入?であることを窺わせます(笑)。韓国はまだまだ、なんといってもゲイ文化に向ける視線が厳しいですからね。

そして、ショーの中心となるダンサーを演じるのが、なななんと、あの「宮廷女官チャングムの誓い」で、誠実で重厚な王様、中宗を演じているイム・ホ(『猟奇的な彼女』でもチョン・ジヒョンのお見合い相手を演じていますね^^)なのです!どーです、この見事で鮮やかな変身振り!真ん中の白い胸当てをした「ボリス」という芸名のダンサーです。お肌もツルツルで、オネエぶりもよく決まっていて、私はこれを見た瞬間、「韓国の役者はここまでやるのか…」と、腰が砕けてハニワ顔になってしまいました(爆)

それはともかく(^^;)最後にはもうひとひねりあって、意外な結末が待っています。どうころんでも日本では公開されない映画だと思いますが(笑)、『色即是空』のようなお下品ムービーも公開される中、ぜひ見ておいて損はない、肩のこらない、笑って笑って、そして最後にホロリとさせる、お勧めの一本とさせていただきたいと思います。
by cookie_imu | 2005-01-10 22:48 | 韓国映画・新しめ