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あるびん・いむのピリ日記

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『ジェイル・ブレーカー』

模範囚のソル・ギョングとチャ・スンウォンがひょんなことから二人で刑務所を脱獄し、そしてまた戻るというドタバタ・コメディー。共演はソン・ユナ。監督は『アック・ザ・ガスステーション』『新羅の月夜(風林高とは絶対、言いたくない・・・)』のキム・サンジン。
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原題は『光復節特赦(광복절 특사)』といい、韓国ではずいぶんヒットした作品です。日本でも先頃の韓国シネマ・フェスティバルで上映された作品ですので、ご覧になった方も多いのではないかと思います。その恩恵でDVDになったのは嬉しいのですが、邦題(英語題か?)がちょっと・・・。まあ、DVD化してもらっただけでも感謝しなくちゃいけないんでしょうが(^^;



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脱獄はしてみたものの、二人とも光復節の特赦リストに載っていた・・・ということを知ってびっくり仰天。刑務所と交渉の結果、すぐに帰ればなかったことにしてやる、といわれ、すぐにでも引き返そうとするムソク(チャ・スンウォン)なのですが、ジェピル(ソル・ギョング)はそうはいきません。なぜなら、愛し合っていたはずの彼女、ギョンスン(ソン・ユナ)が、彼を待ち切れずに新しい警察官の彼氏チャプセ(ユ・ヘジン)と結婚する、というのですから!しかも光復節のその日に・・・とにかく、ギョンスンを探す、というジェピル。いやいやながらも二人で帰らないと特赦がパーになってしまうので、仕方なく付き合うムソク。そこに、二人の監視係のFM(パク・チョンハク)、さらにはムソクの天敵で、刑務所の待遇に対する不満を爆発させる龍の刺青(カン・ソンジン)などが無茶苦茶に絡まってきて、遂に最後には・・・というストーリーです。
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キム・サンジンらしいテンポのよさ、一見ハチャメチャに見えて、ラストまで緻密に計算されたストーリー、随所にちりばめられた古今東西の監獄・脱獄映画へのオマージュ(それほど分かったわけではありませんが^^;)などなど、映画それ自体はとても良い出来で、これなら大ヒットしたことも頷けるのですが、私にとっては主演二人の演技がイマイチで、どうも最後まで乗り切れませんでした。
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いえ、二人のそれぞれの演技はとても良かったです。演技派の二人ですから、悪かろう筈がありません。しかし、共演となると・・・二人とも、気持ちよさそうに暴れまくっているんですが、なんていうのか、お互いの発火点のようなものが違うんですねぇ。ソル・ギョングのキレ方は刹那的で高温発火。チャ・スンウォンはじっくり攻めて爆発する、低温発火。水と油というより、軽油と重油とでもいったらいいのか(笑)個々に爆発している分にはいいんですが、二人一緒に爆発する場面が多いため、実に違和感を感じてしまうんですね、これが・・・言うなれば、ツッコミが二人いる漫才を見ているようなもので、チャ・スンウォンの方がややボケ味は出していますが上手く行っているとはいいがたい。まあ、両雄並び立たず・・・といったところで、非常に残念な思いがしました。
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一方、その分というか、脇に回っているいつもの常連達はじつにのびのびといい演技をしています。まずはサンジン組とでもいうべき、ユ・ヘジンとカン・ソンジン!実に渋く、いい味出してます。それから、せこくてこすい保安課長を好演したカン・シニル。さらに、ジェピルを裏切る恋人役のソン・ユナ!大した役回りでないのに最後にはホロリとさせる上手さを見せています(この好演で、彼女はこの年の青龍賞助演女優賞を獲得しています)。こういった脇役陣のいい芝居もあって、映画自体はとても締まったものになっているのですが・・・返す返すも、私としては主演二人のミスマッチングが残念です。でも、二人をあまり知らない人は、あんなものかなと思って見るのかもしれませんが(^^;

附・「光復節」・・・日本が第二次世界大戦で無条件降伏をした八月十五日。すなわち、韓国・朝鮮が大日本帝国の植民地支配から解放された日。
by cookie_imu | 2005-10-10 19:34 | 韓国映画・新しめ