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あるびん・いむのピリ日記

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『あなたと永遠に』

気がついたら、今日午後珍しく、会議も営業もなかった。「ちょっと外回り、行ってきまーす・・・」と部長に断り、、、・・・気がついたら、京橋のフィルムセンターに座っていた。ああ、重度韓国映画中毒。
『あなたと永遠に』_c0018642_22202372.jpg

それでも・・・、来日した80歳にもなるユ・ヒョンモク監督に、「12/25までやってますから、ぜひ見に来てください」って、頭下げて頼まれちゃなぁ・・・それでなくてもユ監督作品は見たかったのだ。こうなれば、全作品制覇を目指すぞ!(爆)




仕方なくパンフに使ってある写真を孫引きした。フィルムセンターさん、申し訳ありません。これも真の韓国映画普及のためと思って、堪忍してつかぁさい(堪忍できない!・・・って言われたらドウシヨウ^^;)。とまれ、現存するユ監督作品の中では1957年製作(オレの生まれた年だ!)の、最古のものである。しかし、先日見た『誤発弾』に比べると、フィルムの保存状態は格段によい。鮮明な画像で、古の韓国映画をたっぷり堪能した。

1956年に『交叉路』でデビューした当初から韓国映画の期待の星とみなされていた兪賢穆監督の4作目にあたる犯罪メロドラマ。刑務所から出てきた男(李薫イ・フン)が、昔の恋人(都琴峰ト・グンボン)が暗黒街のボス(崔湳鉉チェ・ナミョン)の妻となったことを知り、ついには復讐に走る。1950年代後半は製作される映画の半数以上がメロドラマという時期で、兪監督の初期作品もその流れの中に置かれたが、人物関係を形式的になぞる旧来のメロドラマに対抗した兪監督は、キャメラワークや人物の動きに注意を払った演出で新感覚を付け加えた。ヒロインを演じた都琴峰は、のちに『離れの客とお母さん』(1961年)などの申相玉(シン・サンオク)作品で盛んに起用される中堅女優。(以上、フィルムセンターHPより抜粋)

映画は、十年の刑期を終えて出獄した男が、ライバルに初恋の人を奪われ、そしてやがて復讐を果たしていく・・・という、ノワールとメロを合わせた様な作品である。導入の、まだ収監されている時に、なぜ投獄されることになったのか・・・を語るカット・バックが、今見てもなかなか新鮮である。筋立てはやや陳腐だが、徹底した社会の弱者や底辺の人間の視点でリアルに現実を描き出す手法は、もう確立されていたのだなぁ・・・と感心した。やや冗長な感はあるが、ノワールとメロの絡ませ方もなかなか見事である。これ見ちゃうと、現在の韓国映画って、題材の切り口といい、映画語法といい、出生の秘密、初恋の裏切り、不治の病による死・・・なんていう要素は既にもう、全部盛り込まれちゃっていて(笑)なんだかなぁ・・・って言う感じである。ユ監督の方が、その上に「近代から疎外された孤独」を描き出している分、やっぱり凄いかも・・・なんて思っちゃうのだ。

だけれど・・・これも現在の韓国映画やドラマでよくあることの原型だが、いかになんでも中学生前後の少年少女の時代から、十数年の時を経て出獄するまでを、同一人物に演じさせるのは無理がある。女優だって、ママ役の人がお下げ髪だもんなぁ・・・だけど、それをあんまり不自然と感じなくなってしまったところが、もはや重度韓流中毒の面目躍如たるところか。

それから・・・ややマニアックなことを申すと、最初の監獄場面に出てくる、カンピルの牢屋仲間がいやに上手いと思ったら、これまた往年の名優キム・スンホだった。まだ若いな~!
by cookie_imu | 2005-12-08 22:41 | 韓国映画・古め