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あるびん・いむのピリ日記

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チョ・スンウ主演「ジキル&ハイド」2004夏鑑賞記(前)

2004年8月17日、私は遂に、チョ・スンウ君のミュージカル「Jekill&Hide(ジキル博士とハイド氏)を見るために、インチョンに降り立ったのでした。五回目の訪韓だというのに、もうなんだか気持ちまで違います。胸が高鳴っています。空港に着いてすぐ、Aさんに連絡をとり、その晩にCOEXでお会いする手順の打合せをしました。さあ、これからです!
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正直に告白しますが、江南COEXに行くのは初めてだったのです。巨大複合施設のため、いつも人でごった返している・・・という評判だったため、そこまで映画を見に行く気にはならなかったからでした。で、今回はじめて行ってみましたが、噂通り本当に大きな会場で、地図を見ながら、案内アガシにも聞きながら行ったのですが、ミュージカルの行われるオーディトリウムにたどり着くのが一苦労でした。全体に、有楽町のコンベンションセンターのような感じです。

オーディトリウムに近づくにつれ、立て看も多くなり、ポスターも貼ってあって、いやがおうにも気分が高揚してきます。ただ、三時ごろに着いた時はまだ人影もまばらで、チケットの交換は六時から、とのことだったので、Aさんに再度連絡をとり、地下のメガボックス・シネマコンプレックス前でお会いすることにして、それまで映画でも一本見ようか、と思い地下に下りていきました。ところがそれは甘い考えでした。地下街に入るや否や、ごったがえす人、人、人・・・。ほとんどが、夏休みを利用してきているカップルや親子連れでした。そして、映画館はどこも長蛇の列で、予約も夜中まで満杯!さすがの私も映画は翌日以降に見ることにして、待ち合わせの時間までぶらぶらとショッピング・モールなどを見物することにしました。

まずは喉が渇いたのでビールを一杯(^^)しかし、これが高い!ハイトの小瓶が6,000ウォンでは、日本と何ら物価が変わらないではありませんか!小腹も減っていたのですが、その、いかにもカンナム風のこ洒落たカフェでチョンマルピッサなパスタなどを食べるのは諦め、そこいらのメッドナルドゥにでも入ろうか…と思っていたら、やおら「鍋ラーメン」のお店発見!思わず、「おお、本場の鍋ラーメンが食べられる!!」と狂喜して、キムチラーメンを食べてしまいました。中身はご多分に漏れず袋の辛ラミョンでしたが、3,000ウォンと安く、なんだかとっても美味しかったです(^o^)それからショッピング・モールをぶらぶら見物。CDショップを見つけ、「・・・そうだ!」と思い、中に入って「ジキハイ」のOSTをまずゲットしました。13,000ウォンでした。ところが、後でオーディトリウムの受付で売っていたOSTより3,000ウォンほど高いことが分り、後悔の臍をかみました。そのほか、いろいろな種類の飲食店街を始め、ない店はない・・・というような巨大施設でした。

そうこうしているうちに、Aさんから携帯に連絡が入り、待ち合わせ場所のメガボックス前へ。初対面なので、こちらもドキドキしましたが、無事にご挨拶することが出来ました。小柄だけれど元気の良い、とてもきびきびとした方でした。(^^)語学留学に四月から見えていて、まだ四ヶ月ちょっとだというのに、もう韓国語はぺらぺら、こちらの雰囲気にもすっすり溶け込んでいらっしゃるのには驚きました。先に夕食を済ませ(サンゲタンとネンミョンで15,000ウォン、美味い、安い!)、それから打ち合わせ。私は公演後、お花を渡すこととしました。もし、ご本人やマネージャーさんとうまくお会いできなくても、場内にいるスタッフにお渡しできればなんとかなるでしょう、それが韓国人の「情」…ということで、私はモール街の花屋さんで、黄色のバラやひまわりなどを中心とした花束を作りました。男性から花束、というのも少し変かもしれませんが、例えばお酒やタバコなどよりは華やかで、気持ちもストレートに現れるからいいだろう、と考えたのです。
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さて、いよいよ時間となり、期待に胸を膨らませてオーディトリウムへ。時間30分前だというのにもう、人がぎっしり・・・数少ない当日券を求めて並んでいる人、パンフレットやOSTを買い求める人、立て看の前で記念撮影する人・・・等々で、ロビーはごった返していました。私もパンフを買い求め、ついでにスンウ君のオーディオブック、ドーデーの詩「星」も買って、準備万端整えて会場に向かいました。私の席はCのR席、正面から舞台を望める絶好の位置にあります。そして、左右に大きく扇型に広がったオーディトリウムは音響も素晴らしく、臨場感抜群でした。ただ、観客の九割は若い女性で、男性はその連れ合い、といった雰囲気で、男性(しかも中年の)は私一人…という感じで、さすがスンウファンの集まる舞台!だと思いました。

待つこと数分・・・明かりが落ちて、案内があって、いよいよミュージカルが開始されます。スーッと二条のスポットが当たる中、エマの父と、ハイドの親友アタスンの独唱によるプロローグから、舞台は静かに始まります。そして、舞台全体がパッと明るくなると、そこには診察台があり、精神を病んだジキル博士の父とおぼしき人物が横たわっています。そして、その父を目の当たりにした人物にパッと照明が向いて-、さあ、いよいよお待ちかねのスンウ君の登場です!最初の歌いだしから、父の病気に苦悩するジキルの、朗々たるテノールが始まり、観客はその伸びやかな声と、外見的な小柄さや笑顔の柔和さから来る、スンウ君とのイメージの違いに、戸惑いながらも魅了されて行きます。『フー・アー・ユー?』や『H』で、彼の歌声には親しんでいるファンのはずなのに、その思いのほかの声量と、男性らしい力強さに思わず圧倒されるのです。この場面はジキルをも加えた、全員の群舞と群唱で、華やかなオープニングを飾っています。

次に場面が変わって、「人間の精神を善悪分離することによって、精神治療をする」というジキル博士の主張を、病院の取締役会で演説している場面です。ここは歌ではなくせりふ主体の場面なのですが、ここでも堂々と自説を主張しながらも「そんなことができるものか」と、エマの父にまで批判されて落ち込む、ジキルの姿が良く描かれています。こういったところに、歌唱力だけでなく、映画などできちんと鍛えられている彼の演技力を、私などは感じることが出来ました。自説が受け入れられなくて苦悩するジキル・・・。スンウ君の声が、苦しみの滲んだ、濃い翳りを帯びたトーンに変わっていき、思わず引き込まれます。

そして場面はまた一変し、エマの父の屋敷での舞踏会。エマが初めて登場しますが、とても可愛らしい!エマと父のデュエットの場面では父子の愛情が示されます。そして、ジキルが彼女と踊り、語り合う場面がやってきます。ここは、前半の第一のクライマックス、と言ってもよい場面でしょう。お互いの愛情の深さを語り合う、情の深さに熱が入ります。そして掛け合いからデュエットになり、最後に至高の愛のキスを交わすところまでの、グラデーションを高めながら昇華していく、歌声の素晴らしさに思わず皆拍手喝采!ご存知のようにスンウ君は豊かな声量を持ち、ハイトーンも良く伸びるのですが、情熱を込める場面でも声調が全く崩れず、益々ハイ・エンドが伸びていく…オーディトリウムの天井にスーッと吸い込まれていくようなところが、またまた感心しきりでした。
by cookie_imu | 2006-01-15 16:22 | ジキル&ハイド