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あるびん・いむのピリ日記

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『天上壮士マドンナ』(舞台挨拶付き)

ッパッパ、パパッパ~♪という、軽快なディスコ調のロックに乗って一世を風靡した、マドンナの「Like a virgin」MV。もう22年も前のことになるのか・・・ちょうどこの頃、マイケル・ジャクソンの「スリラー」も猛烈な勢いで流行っており、MV革命とまで言われた時代。マドンナは御年47歳で今でも健在だけど、いわば彼女のワールドデビュー「処女」作とでも言うべきこの曲をなぜ取り上げたのか?それを解くカギは映画の中にある。おじさんにはとても懐かしく、若者には逆に新鮮に感じられる曲。(ついでに「マテリアル・ガール」MVも見つけたのでリンクしておく。そしてこちらはアメリカのパロディの名手、アル・ヤンコビックの爆笑MV、『Like a surgeon<外科医のように>』いかん、止まらなくなってきた^^;)
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主演のオ・ドンウ役のリュ・ドクファンは『ドンマッコル』の兵士役でもその名を知られるようになったが、まだまだ駆け出し。有名俳優は、高校のシルム(韓国相撲)監督役のペク・ユンシクのみ。映画監督は『オー・マイDJ』『南極日記』などの脚本で知られるイ・ヘジュン、初作である。



女の子になることを夢見て来た少年トランスジェンダー物、ということで一種のキワモノ映画かと思い、それほど期待していなかったのだが、ある意味真面目な作りこみがなされており、主演のリュ・ドクファン君の好演と相俟って、なかなか味わい深い佳作になっていると感じた。
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題材にシルム(韓国相撲)が取り入れられているため、周防正行監督のヒット作『シコふんじゃった』との相似を指摘される向きもあるが、周防監督作品が、伝統国技でありながら非日常的な「相撲」という社会を若者世界にまで下ろしてきた、ある意味意表を突く面白さを狙ったものであるのに対して、この作品にはそういうカルチャーギャップの新鮮さを正面に据えよう、といった趣はない。シルムは、ドンウが女の子になる「手術」を受けるために必要な、「優勝賞金」を得る手段に過ぎないのである。いや、過ぎなかった・・・と言うべきか。
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その「手段に過ぎなかった」シルムに、意外な才能があることを監督のペク・ユンシクにも見出され(しかし『ケンカの技術』とは違い、ろくに指導はしない^^;)、シルム部の仲間との友情も培われ始めるという、青春学園スポコンモノの雰囲気も形成している・・・が、ではドンウがシルムを通して男らしさを身に付け出すのか・・・と言えば、そうは一筋縄には行かない。あとは見てのお楽しみである(^^)
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そして・・・何といっても第一の映画の魅力は、リュ・ドクファンがぽっちゃりとカワイイ!ということにあるだろう。この役のために体重を20kg近く増やしたというから驚くが、そのぽちゃぽちゃさが、ともすれば後ろ暗さを伴いがちなトランスジェンダー、性同一性障害というテーマをあっけらかんと明るいものにしている。また、社会の階層的貧困に起因する家庭崩壊といった重めのテーマもよく取り込んでおり、『南極・・・』の脚本ではコケたものの、やはりイ・ヘジュンは監督としての手腕は凡庸ではない・・・と思わせるに足るものがあった。
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そして、ご覧のようにリュ・ドクファンが舞台挨拶に現れると、もうその「ぽっちゃり」は影も形もないのでまたまたビックリ!しかし、映画を見て大うけしていた観客からは盛んに歓声を浴びていた。そうそう、言い忘れたが、これはチョナン・カンの韓国映画デビュー作でもある。役どころはドンウの高校の日本語(第二外国語?)の先生で、結構出番も多い。草剪剛名義ではないため、期待にたがわぬコミカルな演技をしていた(日本人としての扱いにはやや不満も感じたが・・・)。これもまた見てのお楽しみ、とさせていただこう。
by cookie_imu | 2006-09-04 12:39 | 韓国映画・新しめ