人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あるびん・いむのピリ日記

cookieimu.exblog.jp
ブログトップ

韓国インディペンデント映画2005

今日から渋谷のシアター・イメージフォーラムで始まった、「韓国インディペンデント映画2005」という催しに行ってきました。マイナーな映画ばかり上映する会なのに、上映開始45分前にしてもうすごい人…
韓国インディペンデント映画2005_c0018642_2259287.jpg
今流行の「韓流」とは一線を画す、非商業主義的な、いわゆる芸術映画を上映する会です。しかしまあ、ぶっちゃけ「高級自主上映映画大会」かもしれませんが(笑)。ただ、文化庁後援なりよ。
河合隼夫長官のあいさつ文もあったりして、そのへんは日韓友情年として、政府も力入れてまっせ!という気合十分。普通「政府」とかがしゃしゃりでてくるとろくなことはないんだけれど。



韓国インディペンデント映画2005_c0018642_2321583.jpg
今日は『スパイするカメラ』『シン・ソンイルの神隠し』『資本主義党宣言-万国の労働者、蓄積せよ!』の三本を見ましたが、一本目は国家的情報操作犯罪に対する告発的テーゼを持った、極めて重いテーマの作品でした。でも、ミステリータッチに作っていて、結構飽きさせませんでした。監督のファン・チョルミンさんも、いかにも昔学生運動の闘士でした、っていう感じの政治的で誠実な(ヘンな表現ですが^^;)人。親友と見せかけて内通するスパイを「プラクチ」というんだそうです。そのプラクチだった人の悲劇を描いたものだったんだけれど、『二重スパイ』とどう違うんだ(笑)。あー、商業ベースを意識してないってことね。最後の監督挨拶は、全世界の民主主義に対する警告メッセージなんだけど、固いなぁ…。ノンポリおぢさんはちょっと疲れたぞ。
韓国インディペンデント映画2005_c0018642_2375382.jpg
二本目は、飽食の中の、異常な児童虐待に対するクールな警鐘、といった趣の映画でしたが、どうもカット割りが冗漫。なんていうか、監督の自信の表れなんでしょうが、『千と千尋』をある意味パクっているのはいいんですが、ちょっと観客をナメてますな。わたしはイマイチ好感が持てず。女性監督なんですが、舞台挨拶もすっぽかすし。でも、映像は綺麗だったな…
韓国インディペンデント映画2005_c0018642_23255542.jpg
その後、本日のサプライズ!予定になかったキム・ホンジュン監督の『マイ・コリアン・シネマ』の最新作、エピソード6が、エピソード1と共に上映されました。彼の敬愛するユ・ヒョンモク監督の『春夢』を復刻再現する…というエピソードを扱ったもので、私も歴史的名画『誤発弾』で同監督をいたく尊敬していたので、とても嬉しかったです。おまけに監督ご本人まで登場!もっと話し聞きたかったなぁ…

三本目は、資本主義に対する執拗なまでの抗議を、賭博や売春、援助交際という卑俗で通俗的な視点から抉ったもの。この監督、キム・ゴク、キム・ソンという兄弟らしいんだけど、ほんとに粘液気質だなぁ…と感心?しました。さすがの旧韓国映画同好会の百戦錬磨の手練の皆様も、意識不明になられたとか(笑)。まあよく飽きない…と思うほどの、同じシーケンスの蜿蜒とした繰り返し…良く言えばホン・サンス風日常生活のリフレインなんですが(笑)、微妙にパターンが変えてあり、捻りが入っているっていうところが、ナンセンスなんだけど私的にはツボでした。結構面白く見ましたよ。なんていうのか、例えばジャズでも、同じフレーズを繰り返しても、演奏するミュージシャンによって違いますよね、その辺のインプロビゼーションが微妙に琴線に触れたというか…ホン・サンスは一本調子(失礼)な気味があるんですが(^^;でもまた、ちょっと違うようなテイストもあって、私には面白かったです。

以上、本日はAプロからCプロまでの三本と、オマケの一本を見られてとてもよかったんですが、さすがにこれらの映画にはエンタメ性が皆無なため、いわゆるカタルシスが得られず、休憩もほとんどないため6時間座りっぱなしに近くて、大変疲れました(-o-;)いわゆる映画祭ですから覚悟の上ではあるんですが…その辺はもう少し何とかならないものかなぁ、とも思いました。ちよっと映画を見るのが難行苦行になっちゃうとねぇ。でも、ミニシアターの雰囲気は好きなんで、場所的には文句ない催しでした。3/11まで開催。(内観・外観等撮影許可・シアター・イメージフォーラム)
by cookie_imu | 2005-03-05 22:59 | 韓国映画・新しめ