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あるびん・いむのピリ日記

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基礎教育こそ命

ここでの基礎教育というのは、いわゆる義務教育のことである。日本に限らず、大体どこの国も(いわゆる先進国は)6~15歳前後までを義務教育として課しているところが多い。
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学校の年齢による編成が違うので、単純比較は出来ないが、韓国は日帝統治の名残なのか日本と同じく義務教育は小学校6年、中学校3年である。しかし、つい最近(2001年)まで、中学は有償教育であった、ということを知ってビックリした。ちなみに、写真は韓国の小学校のもの。二宮尊徳のそっくりさんのような像が立っているので驚くが、これは韓石峰(ハン・ソッポン)という韓国立志伝中の偉人なんだそうな・・・(ちなみに、彼とイ・スンシン、セジョン大王の像はどこの学校にもあるらしい)。

昨日から来ているイタリア人にちょっと話を聞いてみたが、あちらの高校は音楽・美術などの芸術系科目、生活一般などの家庭科課目は全くなく、学術系一本で、土曜も6時間!勉強するのだそうだ。イタリアだから昼休みはシエスタしているのかなんて(^^;考えてたら大間違い(もっとも、ミラノは北イタリアで、北と南とでは別な国くらい気質も違うのだそうだが・・・)小学校のことはまだ聞いていないが、中学はあまり高校とは変わらないだろう。韓国の高校も学術系ばかり、体育もまともにやらないところも多く、文化祭やクラブ活動をきちんとやっている学校も多くはないそうである(クラブに熱心な学校は、レベルは高くないと思われているそうだ)。しかし・・・以前にも述べたが、知識は大切だが詰め込みだけでは本当の学力はつかない。孔子も「論語」で述べているように、「学びて思はざれはすなはち罔(くら)く、思ひて学ばざればすなはち殆(あやふ)し」なのである。

それだけの勉強をきっちりやらせている国なのに、なぜかその親の世代には、教育効果に疑問が持たれるケースがままある。たとえば、タクシーに乗る。「金海空港に行ってください」「お?オディエヨ?」「キメコンハン、カジュセヨ!」「?」「エアポートヨ!!」「??」といった具合である。まず、英語は通じない(確率が極めて高い)。エアポート、シネマシアター、レストランといった基本単語でも不可である。韓国風英語(コングリッシュ)で話さないと通じないのである。その上、彼らが知っている英単語語彙は極めて少ない。そしてまた、ハングルをきちんと発音しないと聞き取ってもらえない。「金海空港」なら「ギメゴナン」という風に。あまつさえ、ブサンならブサン訛りで話さないとダメ・・・なんていうケースがあったりもする。

要するに、社会の一番基本的労働末端にいる人々、運転手さんとか、駅員さんとか、店員さんとか・・・そういう人たちにこういうタイプの人が多いのだ。だから結局、こちらはかなりきちんとハングルを覚えていかざるを得ないことになる。これは結局、韓国の40代以上が、十分な初等・中等教育を受けていない(あるいは受けられなかった)ことに起因していると思う。その上、残念なことながら階級意識が残存しているケースもあるので、末端的労働者には必要以上の教育(例えば英語教育とか)は、あまり重要でない・・・と考えられている風潮があるのだ。そういった人々にこそ、基礎教育が必要なのに、である。もっとも、日帝統治に朝鮮戦争と、生きていくだけで精一杯だった、彼ら彼女らの世代に責任を押し付けるわけにはいかないが・・・

「漢江の奇跡」とまで呼ばれ、欧米型民主化も達成して「先進国」の仲間入りした筈の韓国にしてからがこれである。食べることで精一杯で、学校に通うことが出来ない、識字率のきわめて悪い第三世界諸国などは推して知るべしである。食べることは生きるうえで最重要課題だが、基礎教育の充実がなければ、その国はいつまでも停滞状態を脱することは出来ない。学校に子供がこられるように給食を実施する世界的NGOがあるが、私はこれをきわめて重要なものだと思っている。子供たちにはパンを与えると同時に、ペンも与えなくてはならない。そしてそれが、豊かな国・富める国が、富を収奪している、世界の貧しく生きるのにも苦しい国の、子供たちになしていかなくてはならない責務だと思っている。
by cookie_imu | 2005-09-29 09:54 | そのほかいろいろ