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あるびん・いむのピリ日記

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『ミスター主婦クイズ王』に見るハン・ソッキュの笑顔

この間久しぶりに『ドクター・ポン』を見直して、改めて暖かな気持ちになった。なんといっても、ハン・ソッキュの溌剌とした演技と、弾けるような笑い顔に包まれたからである。
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ハン・ソッキュの笑顔が最大の魅力を見せるのは、言うまでもなく『八月のクリスマス』である。この映画をリメイクするにあたり、山崎まさよし氏は「僕にはあれだけ悟り切ったような笑顔は浮かべられない。僕は僕のやり方で表現する」と、パンフレットの中で語っていた。彼の笑顔が「悟りきった」ものであるかどうかの議論は一旦措くとして、彼のその暖かで穏やかな人格そのものの笑顔に心癒されるのは事実であろう。

しかし・・・彼の笑顔は、『シュリ』のあの、チェジュドの海を眺めたラストの穏やかな微笑からあと、ずっと途絶えていた。『カル』、『二重スパイ』、そして『スカーレット・レター』・・・人間の生きる内面に迫る演技を重視するあまり、シリアスな演技にのめりこんでいったのである。その結果、興業的には十分な成果を上げたとは言いがたく、「ヒットの興業手形」とまで言われた彼には自尊心が傷つくような日々を送ったのに違いないと思われる。

変化の兆しが現われたのは、前作の『あの時 あの人たち』からではないかと思う。この映画も、パク・チャンヒ元大統領暗殺前夜を扱ったということで話題性だけが先行し、些か内容がおぼつかないような印象を覚えた。しかし、映画の中でハン・ソッキュは久々にコミカルな演技を行った。このことによって、彼はコメディー演技を行う楽しさの感覚を、幾分かでも取り戻したのではないかと思う。

ここに上げられているシネ21の記事に彼は、「二重スパイ以来、自分の子供とは見られない映画が続いた。子供が大きくなった今、一緒に見て心に残るような、楽しい映画に出演したくなった」というようなことを述べている。それは確かに真実だと思う。しかし、それだけではなく「映画の本当の楽しさ」は、田舎に行った時に、他に娯楽もないような中、自分の映画を楽しんでみてくれるような人々の記憶に残ること・・・にある、ということにもまた、気付いたのではないだろうか。私も実にそう思う。しかめっ面で屈折した彼の演技はもう十分、堪能した。これからはまた彼の明るい笑顔、さらには『八月のクリスマス』を髣髴とさせるような、温和で心癒されるような笑顔にもまた、お目にかかりたいものだと思っている。そして、とにもかくにも早く、この映画での彼の「新しい笑顔」にお目にかかりたいと願っている。
by cookie_imu | 2005-10-05 15:35 | 韓国エンタメNews小考