だから言わんこっちゃ無い・・・などと、従来なら岡目八目的な態度で高みの見物を決め込み、偉そうに「やっぱりコーリアンは段取り予定無視が得意だ」などとしたり顔で論評していたのだが・・・この件に関しては、どうもそうは言ってられない気持ちになってきた。
以前から懸案になっていた、南北縦断鉄道の京義線・東海線試運転の件である。
過去の失敗の教訓を生かし、韓国・北朝鮮ともに綿密な実務者会議を行い、乗客名簿まで取り交わすところまで来ていたらしい。それが、北側軍部の反対にあって、試運転直前になっていきなりおじゃんに。何でも、黄海上の軍事境界線が確定していないことが原因らしいが、「そんなことは大前提中の大前提、それは分かっていても、お互い乗り越えてやろう、と言っていたのではないか」とも言いたくなる。
以前なら「またか・・・」と傍観者的思いで見ていたのだが、この国に住んでみると、「北の同胞に対する渇仰」というものが肌で感じられるようになり、北の駆け引き的戦略には「分かっちゃいるけど、何かやらずにはいられない」という、韓国が抱える民族分断の根源的やるせなさが見えるような気がしてきた。なんとか、キム・デジュン元大統領には列車でDMZを越えて、ピョンヤンに行って欲しかったのだ。そして近い将来、限定された地域同士であってもお互いに一つになれたなら・・・という切望、特に年配者の執念にも似た切望の息遣いを感じることが出来るような気がする。それを知ってか知らずか、駆け引きを楽しむ北軍部(というよりジョンイル氏)は、なんだかおねだりをしている駄々っ子のようにしか見えない。
そして・・・韓国は毎度のことに溜息をつきながら、しょうもない「弟」に小遣いをやっている・・・という構図が出来上がってしまっていると思う。こんなことが永遠に続く訳もも無いだろうが、当面はまだまだこのような「緊張安定」が続くのだろうなあ・・・ということを実感させる事件だった。この夏休み、ドラサンから先にひょっとしたら行けるかも・・・と考えていた一イルボンサラムは、また己の考えの甘さを知った・・・・・・