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あるびん・いむのピリ日記

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韓国アニメ映画二題

昨夏の韓国アニメ映画「アチとシパ」の独自性と完成度の高さに目を瞠る思いがした私ですが・・・冬休み中ということで、日本ほどではないにしても韓国アニメの新作がディズニー作品に混じって上映されています。忙しい最中ですが、それを縫って見に行ってまいりました(^^;

まずは、オールド・ファンなら1度は見た記憶があると思われる「ロボット・テコンV」です。
韓国アニメ映画二題_c0018642_22183326.jpg

何度もリメイクはされていますが、今回は1976年当時の旧作テコンVそのまんま、です。もちろんデジタルリマスタリング、ドルビー5.1などの現代復刻処理はしてありますが・・・

思ったより興味深かったです。もっと反日、北敵視的色彩が濃いのかと思ってたらそうでもなくって・・・。科学万能主義に陥った現代に対するヒューマニズムの警鐘、といったバックボーンが通っていたんで、割と現代の日韓の子供に見せても大丈夫かな・・・という感じでした。現在作られているいろんな韓国映画群のほうが、よっぽど民族主義的色彩が強い(笑)

言われているような「ガ◎ダム」の二番煎じ(っていうか見方によってはもろパ●リ)といったネガティブ?な色彩は、個人的にはあまり気になりませんでした。もちろん外面的にはどこをどう見ても「ガン○ム」なんですが(^^:、やはり、テコンドーを主体とした技の連打、肉弾戦による緊迫感・・・というファクターも大きいのかと。

敵方の造形(特に美形ロボットマリィ)も完全な勧善懲悪ではなく、性格設定に手が込んでいて結構はっとさせられました。やっぱり韓国映画界の重鎮ユ・ヒョンモク先生製作・・・と言う睨みが効いているから・・・と思うのは、贔屓目でしょうかね(^^)まあそれも含め、一見の価値はあるかと思いました。


二作目はバリバリの新作、韓国アニメの最先端を行く「千年狐ヨウビ」です。
韓国アニメ映画二題_c0018642_22263238.jpg

いやー、素晴らしかったです!少なくとも私にとっては期待を裏切らない出来でした。

監督は昨年日本でも公開された「マリといた夏」のイ・ソンガン。前作の不思議にノスタルジックな浮遊感はそのままに、ファンタジーと適度なアクションや冒険性を融合させた秀作に仕上がっていたと思います。感激しました。

とはいっても、アニメ・マニアのような方から見れば「あれもパクリ、これもパクリ」というような指摘がなされるかもしれません。現に、世界に冠たる宮崎アニメや藤子アニメ、そして「ムーミン」のようなファンタジイの影響から完全に脱したオリジナルを構築することは、「ファンタジイ・アニメーション」という分野を志向する限り、もはや不可能といってもいいかもしれません。

それでも朝鮮王朝時代から受け継がれて来た、民族の精神の一部とも言うべき「千年狐」を真正面に据えて、そこに現代的アレンジと魅力的な人物キャラ、可愛らしいクリーチャーたちを加え得た監督の手腕は十分、賞賛に値する・・・と思いました。

アニメの配色には、韓国的「五色」への配慮とともに自然美への憧憬も語られ、それもステキでした。画面に合わせた主役ヨウビのソン・イェジンちゃんの溌剌とした声も、ヨウビがほのかに思いを寄せる控えめなリュ・ドクファン君の情感のこもった声も(彼、やっぱ才能ありますねー!)とってもよかったです(^^)

今回は女の子が主人公ということで、幼い女の子とお母さんという観客の組み合わせが多く、「テコンV」よりはるかに静かに見られました(笑)でも、決してお子チャマオンリーな内容ではないですよ。だからといって高らかに「脱テクノロジー」とか「エコロジー」といったお題目を読み込んでいるわけでもなくって・・・。そういうのに些か食傷気味だったんで、逆に新鮮で良かったです。

それにしても・・・
「美女はつらいの」の記録を伸ばそうとしてるためか、あおりを食ったのか「ヨウビ」は(テグでは)上映館縮小、上映時間短縮という憂き目に会ってしまいましたこんなに素晴らしい作品なのに!配給は目先の利益にしか考えが及ばないのか・・・と、悲しくなりました。
by cookie_imu | 2007-01-26 22:34 | 韓国映画・新しめ