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あるびん・いむのピリ日記

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『バレエ教習所』

社会派映画『ナヌムの家』、キム・ユンジンの大胆なラブシーンが話題になった『密愛』などで日本にも知られた監督、ピョン・ヨンジュの第七作。ひょんなことから公立のバレエ教習所に通うことになった青年達の青春群像を描くドラマです。これもまた、昨年暮の公開。
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ストーリーは、ガンの闘病で母親を亡くした多感な高校三年生、カン・ミンジュ(ユン・ゲサン)が、友達三人と大学能力検定試験の後、あまり目的もなく日々を送っている中で、父親の車を酒に酔った勢いで乗り回し、挙句の果てにひき逃げ事故の犯人にされかかって、何とか誤解はといたものの、目撃者となった公立バレエ教習所の講師、ジュンソク(ト・ジウォン)のやや強引な誘いで、全く関心もなかったバレエの講習を始める…というところからスタートします。
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その講習には、ドンワン、チャンソプといった彼の友達もつられて加入し、また近所の乳酸飲料販売のアジュンマや、もとツバメのアジョッシなども通う、一癖もふたクセもある教習所です。そして、なんとそこにはミンジュが昔から片思いをしていた男勝りの性格のスジン(キム・ミンジュ)も、母親の性格改造計画の犠牲となって?通うことになっていたのでした。
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そんな強気な彼女の、かわいらしいパレオ付レオタード姿に思わず興奮して惚れ直すミンジュ。どうにもイヤで仕方のなかったバレエを、初めて本気で取っ組むやる気を起こします。そして、とうとう彼女を自宅に招待してのデート、と相成るのですが、果たして・・・?
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この映画の題名は『バレエ教習所』ですが、話のメインはバレエではありません(笑)。従って、バレエを感動的に描くとか、次第に達成感を持って取り組むようになる、とかいった『Shall We ダンス?』や、『スウィング・ガールズ』のような映画を期待してはいけません。主題はあくまで、なんとなく不思議な雰囲気の、バレエ講習所を中心に集まる若者の青春群像を描くことにあるのですから。とはいっても、ウリはやっぱりG.O.Dのメンバーであるユン・ゲサンでしょう!彼目当てに映画を見に行った観客も多かったと思います(残念ながらつい最近、入隊してしまいましたが)。私もドラマ「兄嫁は19歳」で、ビビる大木にちょい似の(ファンの方ゴメンナサイ^^;)彼が、はにかんだ様に笑う姿などを好感を持ってみていたんですが、どうもこの映画のユン・ゲサンはイマイチでした。オンマの死を、航空士をしている彼の父親の不在と無関心のせいである、というトラウマや、父との葛藤を抱えている…というのが、ドラマのもう一つの大切なメインストーリーなんですが、そのため終始眉をひそめる暗い表情をうつむきがちにしていて、あんまり可愛らしくないんですよ。いや、男に可愛らしいは失礼かもしれませんが、さすがに映画転身第一作、そこまで複雑な感情を表現できるほどには、演技がこなれていないのです。だから、どうしても映画のドラマに一本、筋が通ってこない。キム・ミンジュンもなかなか好感の持てる演技をしているんですが、映画を引っぱりきれるほどではない。最近では「アイルランド」に出演して、印象的な演技もしているのでやや残念にも思われます。
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そして一応、映画の終わりにはバレエの発表会の場面があり、本当はここがカタルシスの場面になるといいんですが…話のメインをバレエの訓練譚にシフトしていないので、やっぱりイマイチ感動が薄いんですね。ミンジュはお父さんとも、最後には和解をするんですが、その手段として、今更キャッチボールなんてするなよ…みたいな、生硬な演出もやや鼻につきました。けっこう期待して楽しみにしていた映画だったんですが、少々あてがはずれてがっかりした…というのが正直な本音です。

ちょっと辛口のレビューになってしまいましたが、やっぱり群像劇、って難しいですね。ポイントが絞りきれなくなってしまう危険がある。けれど、ユン・ゲサンをアイドル扱いせず、企画モノとして映画を製作するのではなく、きちんとした作りの上に、真面目に彼に演技をさせた、監督の意欲は買いたいと思います。やはり、ユン・ゲサンのファンなら見るしかないでしょう!あと、私的には久々の映画出演となるト・ジウォンが、特技のバレエをいかしてとてもたおやかな風情を見せてくれているのが拾い物でした(^^)
by cookie_imu | 2005-02-07 01:53 | 韓国映画・新しめ