あるびん・いむのピリ日記

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『タッチ・オブ・スパイス』

なんと、今年になって見た、初めての洋画ドラマ映画です。本当は『オペラ座の怪人』か『Ray』に行こうと思っていたんだけれど…ちょっと時間が合わず、文化村ル・シネマへ。さして期待もせずに見たのですが、思わぬ拾い物(と言っては映画に対して失礼でしょうが)、とても感動的なよい作品でした。
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現在公開中なので、画像は公式ダウンロードを許可されている壁紙だけですが、それでもこの映画のハートウォーミングな雰囲気は伝わってくると思います。タンス・ブルメティスという人が監督し、『コロンブス』の主演などで知られるギリシャ人俳優、ジョージ・コラフェイスが主演したギリシャ映画です。ギリシャ映画なんて、昔岩波ホールで上映してた『旅芸人の記録』なんていう、見るのに五時間近くかかる映画がある(結局見なかったけれど^^;)ことくらいしか知らなくて、本当に初体験状態。
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また、物語は、イスタンブールに居住していたギリシャ人が、トルコ国家により強制退去させられ、主人公が大好きだったスパイス店のおじいちゃんとも、憧れていた女の子とも引き裂かれてアテネへと移住する…という簡単なシノプシス以外全く予備知識もなくて、



いやそれにしても…アテネ・オリンピックが開催されたというのに、私はギリシャについて何にも知らなかったんだなぁ…と痛感させられました。アジアの西と東で、歴史的経緯も形態も全く異なりながら、「キプロス紛争」という名の武力による民族分断の悲劇が続いている…南北朝鮮がギリシャ、そしてトルコが侵略と分断により、軍事介入を図ってきたかつての日本、と置き換えると、そのあまりの類似性に目が覚める思いがしました。
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 しかし、映画は決してトルコ非難といった政治的なアジテーションを行うものではなく、そのやるせない思いはむしろ、故郷ギリシャに向けられている、と言ってよいでしょう。イスタンブールから強制退去させられたギリシャ人が、ギリシャ本国ではまるでいわば「帰国在日同胞」のように扱われている、という事実にも驚きました。それでも、故郷は忘れられない--その万国共通の思いが胸を打ちました。
料理とスパイスに込められた、限りない愛惜の思いの数々…。「美食主義者(ガストロノス)の中に宇宙学者(アストロノス)は宿っている」という、おじいちゃんのスパイス宇宙論によって、絶妙な料理人の腕を持ちながらも宇宙物理学者となる主人公ファニス。幼き日の初恋の人サイメとの、胸引き裂かれる別れと切ないまでの再会。しかし、時の流れは家族へも、男女の仲にも、残酷にその別離を突きつけていきます…。
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海洋民族、大家族主義、男尊女卑思想だが実質は女性が家庭の権威…などなど、アジアの東と西のはずれなのにこんなにも接点が多いなんて、それもまた目からウロコ。また、使われるスパイスの数々と、そのギリシャ・トルコ料理の多彩で豊饒なこと!その丁寧な味わいは、名作『バペットの晩餐会』をも彷彿とさせます。奇しくも、この画像が表すように、スパイスの代表として赤唐辛子が配されていること自体が、同じ「アジア」を強く印象付けるではありませんか!ただ、「ギリシャ正教」という、キリスト教の一大勢力だけれど、日本人には全く馴染みがない東方教会の存在だけは違和感がありましたが…。韓国映画ではないけれど、ぜひご覧いただきたい一本であると感じました。
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by cookie_imu | 2005-02-11 10:55 | その他邦画・洋画