あるびん・いむのピリ日記

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『人のセックスを笑うな』

センセーショナルな題名といいましょうか、打ってる方がやや気恥ずかしくなりますが内容は真面目なアート系文芸映画です。全然いやらしくない(笑)
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以前「カツラ美容室別室」っていう本をこのブログで紹介した時にも書きましたが、私この原作者の山崎ナオコーラ(それにしてもヘンテコなペンネームだ・・・)のファンなんです。最近は色んな女流作家が我が世の春と才能を謳歌してますが、まあなんていうか淡々としている中にも叙情と染み入るような哀切を感じる、そんな感性や文体が気に入っている作家なんですね。なもんで、この作品が映画化されたと聞いてぜひ見てみたい、と思っていたから多忙を押しても見に行ったわけです。で、もともと予備知識を入れていくのは好きなタイプじゃないんですが、正直に告白しますと、映画が始まるまで主演が当代切っての人気役者になりつつある松山ケンイチだという事も知らなかったんです(苦笑)。ついでに、こちらも人気若手女優の蒼井優が出ているっていう事も知らなかった・・・



「まあ・・・こんなマイナーな文芸映画、そう見る人は多くないから10分前に行けばいいだろう」くらいにタカをくくっていました。そうしたら・・・まず、いつも買う前売りチケット屋にいったら「品切れ欠品中」の札が。やや不審な思いを抱いて映画館に向かうと、平日の夕方だというのにもう、人の波、波、波・・・。あやうく立ち見になるところでした(それほど小さくないハコなのに、です)。まあ、レディース・デーということもあったんでしょうが、本当にあなどれない松ケン人気というものを肌で感じ取りました(圧倒的多数の若い女性が交わしている会話から推察されました)。あとは、その松ケンファンに連れられて来た彼氏が20%くらい・・・ってとこでしょうかね。私のようなオジサンは皆無だったんで、えらい孤独感を感じました(爆)
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映画の方は、これも女流監督の井口奈己のテイストが十二分に生かされた作品といいましょうか、とにかく長回しロングカットの、本当に独特の感性で撮られた映画でした。この監督の前作「犬猫」は見ていませんが、そのあまりにも長いワンカット(時には2分にも及ぶ!)のせいで、映画に対して極端な賛否両論が交わされている・・・っていうことだけは知っていたんです。見た感じでは確かに長いなあ、間延びしているなあ・・・って言う印象は免れませんでした。ですが、それを補って余りある、原作の空気感や色彩感を生かした、まるで「行間を丁寧に読み込んだ」ような繊細な絵作りをしている、好感の持てる映画でした。
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特に、ヒロインであり、主人公磯貝みるめ(松山ケンイチ)が恋に落ちてしまう美大のリトグラフ講師を演じた永作博美の、小悪魔的というかノンシャランとした雰囲気の造形力は抜群で、それがこの映画を支えている・・・と言っても過言ではないほど。それに対して松ケンはやや「素」を強調しすぎたきらいがあるかな。その辺は蒼井優の方が自然体が板についていて、好感が持てました。けれど、松ケンの方はご存知「L」のイメージが強すぎて(笑)、それでそういう先入観が出来てしまっていたからかもしれません(^^;

ただ、ワンカット1分超が平均、というのはいかに何でも長いです。俳優陣は頑張ってましたし脇を固める役者もあがた森魚とか一癖もふた癖もあるアクの強い俳優を使って成功していましたが、それでもセリフ無しであの長いカットをそうそう持ちこたえられるもんじゃあない。オマケに相当、引いて撮っているんで俳優の表情が見えなくなり、セリフもこもってしまう。そういう欠点はどうしても出てきてしまうわけで、とても万人受けする映画ではないんですよ。それを大勢の「松ケン」ファンが見て、ああだこうだと言うわけですから・・・。決して偉ぶって言う訳ではありませんが、普段ハリウッドの娯楽映画しか見つけていないような人には、邦画、しかも独特な雰囲気のアート映画を見て否定的な発言はして欲しくないなあ、と思ったわけです。だけれど、そんなキャスティングでもなければこういった映画の「良さ」を多くの方に知ってもらう機会も無いわけですから・・・。まあ、痛し痒しといった所でしょうか。そんなわけで上映館も多くないし、二時間超の「間延び」文芸映画だけど、この機会にぜひ見られる方には見て欲しい映画だと思っています。
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by cookie_imu | 2008-02-14 11:09 | その他邦画・洋画